長谷静香です。
前回この言葉を使って記事を書いたら、予想外にたくさんの反応をいただきました。
聞いたことのない、わかりにくい言葉だから、使わずにいようかなとも思いましたが、
あえて使ってみたことで、「知らない、何?」と興味を持ってくださった方もいて、勇気出して使ってみてよかったなあと思っています。
なぜ、よかったなと思っているかというと、これは、カウンセラーの在り方として、本当に本当に大切なものだし、それは、カウンセラーに限らず、すべての人に大切だと思っているので。
私がこれから、ミッションとして伝えていこうと思っている『心の器づくり』も、これが、大きな柱となっていきます。
なので、ネガティブ・ケイパビリティについて、書いてみよう!と思いました。
私がこの言葉に出会ったのは、野口嘉則さんのメンタルファウンデーションコーチ養成講座1回目の時でした。
カウンセラーにとって最も大切にしている能力が、ネガティブ・ケイパビリティだと。
意味:ネガティブな状態や、未解決な状態をそのまま受容する力、その状態にとどまり続けることができる力。
学びを続ける中で、このことをもっと知りたい! 何か文献はないだろうか? と思って探したところ、
前回ご紹介した『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
帚木 蓬生 著 朝日新聞出版 』に出会いました。
そして、意外に、日本ではそれ以外のこのことについて書かれている本がないんです!
なので、帚木さんの本と、野口さんからの学びをベースに書いてみようと思います。
もともと、ネガティブケイパビリティという言葉をはじめて使ったのは、イギリスのジョン・キーツという名前の詩人だそうです。
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今では有名になった兄弟宛ての手紙の中で、キーツはシェイクスピアが「ネガティブ・ケイパビリティ」を有していたと書いている。「それは事実や理由をせっかちに求めず、不確実や不思議さ、懐疑の中にいられる能力である」
~帚木さんの本より
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その手紙の原文はコチラです。
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I had not a dispute but a disquisition with Dilke, on various subjects; several things dovetailed in my mind, & at once it struck me, what quality went to form a Man of Achievement especially in Literature & which Shakespeare possessed so enormously—I mean Negative Capability, that is when man is capable of being in uncertainties, Mysteries, doubts, without any irritable reaching after fact & reason—Coleridge, for instance, would let go by a fine isolated verisimilitude caught from the Penetralium of mystery, from being incapable of remaining content with half knowledge.
私はディルクにさまざまなテーマで論争ではないが長い説明をした。私の心の中で数多くのことがぴたりと符合しハッとした。特に文学において、人に偉業を成し遂げしむるもの、シェイクスピアが桁外れに有していたもの――それがネガティブ・ケイパビリティ、短気に事実や理由を求めることなく、不確かさや、不可解なことや、疑惑ある状態の中に人が留まることが出来る時に見出されるものである。[4]
Wikipediaより
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ただ、キーツがこの言葉を記述したのは、たった1回。
弟たちへの手紙の中のみ。
それを170年後に、イギリスの精神科医 ウォルフレッド・ビオンが精神分析に必要なものとして掘り起こしました。
そして、前述したように、日本では2017年に精神科医帚木蓬生さんが書籍化して注目されました。
帚木さんは、多くの受賞歴を持つ小説家でもあり、臨床40年の精神科医でもあります。
その帚木さんが、精神科医になって5,6年目に図書館で見つけたある論文(著者・ハーバート大学医学部精神科)の中に、「ネガティブ・ケイパビリティ」の記述があったそうです。
ネガティブ・ケイパビリティという言葉があるならば、ポジティブ・ケイパビリティという言葉もあるのでは?と思いますよね。
ポジティブ・ケイパビリティは、まさに「問題解決能力」
私たちは、小さなころからこの能力をずっと培い、磨いてきたのではないでしょうか?
だから、解決しよう! 解決したい。
解決しなければいけない。
解決できない問題に出会うと苦しくなる。
という感じではないでしょうか?
しかし、ネガティブ・ケイパビリティは、
「未解決なままとどまり続ける力」「ふんばる力」「宙ぶらりんのままいる力」
解決しないまま抱え続けることは、難しい。
苦しい。
でも、それを
「解決したいけど、残念だけど、今は解決しないか・・・」
「苦しいけど、そういうときもあるか」
「未解決のままでも、それもありか」
「残念だけど、そうなんだよね」
と、気持ち、思いを抱え続ける。
ただ、この「抱える」ということ、実はけっこう難しいと思うのです。
よっぽど心の器が頑丈でないと難しい・・・と野口さんはおっしゃいました。
なので、あなたの心の器が少し弱っているときは、特に!
心の器がしっかり育っていないときも抱えるのは難しいかもしれません。
そんなときは、一人でもんもんと抱えなくて大丈夫。
信頼できる人に相談してもいいし、
紙に気持ちを書きなぐってもいいと思う。
でも、やっぱりマイナスなこと、ネガティブなことを
自分一人で抱えるのって、すっごく勇気がいるし、
しんどいし、苦しくなるかもしれない・・・。
そういうときは専門のカウンセラーに相談するのもありですね。
私は、セッションの中で、
一人で抱えていくのが難しいクライアントさんの心、
気持ちをカウンセラーとして、一緒に抱えていく。
そういうお手伝いをしています。
今日もあなたの心に勇気のしずくを。
長谷静香でした。