長谷静香です。
先日のメールレッスンで、ある本をご紹介しました。
何人かの方からお返事をいただき、
そして、たまたま昨日の個人セッションのクライアントさんが
私が取り扱った内容「子どもの不登校」のご経験者であったこともあり
こちらでもご紹介することにしました。
『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力
帚木 蓬生 著 朝日新聞出版 』
読むのに少し時間がかかったのですが、最後は、近くのカフェで一人時間を作り、読了しました。(くるみパン、大好きなんです)
ネガティブ・ケイパビリティという言葉は、
野口嘉則さんの講座で学んだ時に、初めて知った言葉でしたが、
その概念に触れたとき、
かみなりに打たれたような衝撃的を受けました。
ネガティブ・ケイパビリティとは、
簡単に言うと、副題の『答えの出ない事態に耐える力』
野口さんからは、
「ネガティブな状態や、未解決な状態を、そのまま受け容れる力、
また、その状態にとどまり続ける力」
と教えていただきました。
人って、割と、白か?黒か?
ゼロか?100か?という思考に陥りやすいのではないでしょうか?
また、もやもやした時に、
このもやもやをどうにか解決したい!解決しなければ!と
思ってしまうものではないでしょうか?
でも、ネガティブ・ケイパビリティとは、
白黒ではなく、グレーでもいいんじゃない?と思える力、
もやもや、解決できたら、そりゃいいけど、
解決できなくても、それでもいいよね って思える力かな?と
思っています。
この本の中で心に深く刺さった部分は、
不登校について取り扱った内容でした。
本の195ページから196ページ。
たったの2ページですが、
この本の中で、
一番心に残った文章でした。
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一部、引用します
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●不登校の子が発揮するネガティブ・ケイパビリティ
私のクリニックには、不登校の子供が親に連れられてよく受診します。
ほとんどの親が、このままだと我が子は、世の中から落ちこぼれていくと、恐れおののいています。
無理もありません。
しかし、当の本人は、自分が受けている教育がどこかおかしいと感じています。
おかしいと感じている子のほうがそうでない子よりも直感的には正しいのかもしれません。
~中略~
(いじめなどがはいってくれば、
教育の場は、恐怖の場になります)
その恐ろしい場所に、意を決して戻りなさいというのは、燃えている家に飛び込めと言うくらい酷でしょう。
不登校というのは、本人が選びとった避難場所です。
そこを追い立てるのは、天災で避難所に逃げ込んだ人々を追い出すのと同じなのです。
せっかくの避難所ですから、本人に折り合いがつくまで、とどまってもらうのが一番です。
このとき本人が発揮しているのはまさしくネガティブ・ケイパビリティと言っていいでしょう。
どうにもならない状況に耐えている姿です。
もう、目からウロコでした。
私も、やっと子どもの学校の行き渋りに対して、
「いってもいかなくてもどっちらもいいよ」
「そうやって自分でいかないって言えているだけでもいいよね」
と思えてきたのですが
(ちなみにこう思えるようになるまで、6年ほどかかっています)
燃えている家に飛び込めと
いうくらいのこと、
避難所から追い出すくらいのこと
だなんて!
心に突き刺さる言葉でした。
自分で選び取っている避難所。
子どもは自己決定しているって
ことですよね。
そして、自分の中で
折り合いをつけようとしている。
この文章には続きがあって
そこもご紹介します。
となれば、親も同じようにネガティブ・ケイパビリティを持つ必要があります。
わが子が折り合いをつけて進む道を見出す時が来るまで、宙ぶらりんの日々を、不可思議さと神秘さに興味津々の眼を注ぎつつ、耐えていくべきです。
学校に行ったほうがいいのか?
でも、そんなにつらいなら、行かなくてもいいのか?
やっぱり、行くことで、友達関係や先生との関係、
さまざまな対人関係を学べるのではないか?
でも、子どもの意志を尊重したい。
もう、心はゆれゆれで、まさに、宙ぶらりん状態です。
あっちかな? こっちかな?
あっちでもいい、こっちでもいいよね。
そういう答えの出ない事態、
答えのない問いに向き合いつつ、日々を丁寧に生きていく。
ただ、目の前のことに向き合い、葛藤しながら、葛藤を抱えながら愚直に生きていく。
そういうことなのだろうな・・・と思います。
しかし、答えの出ないことを、それでもいっかって思えるって、
実は、心の器が強くないとなかなかできないことなんです。
ネガティブ・ケイパビリティ、深いです。
私の個人セッション・カウンセリングでは、これを大事に、ネガティブを一緒に抱えていく作業をしながら、心の器づくりをサポートさせていただいています。
今日もあなたの心に勇気のひとしずくを。
最後までお読みくださりありがとうございました。
長谷静香でした。